どうも、冬花です。
このブログにおいて、ファンタジー小説「名もなきファンタジー小説」を公開させていただきました。
以前、同じ連載形式で公開させてもらったホラー小説「袋小路」がせっかくご好評いただいてたのに、その作品よりも前、というか人生ではじめて書き上げた拙い拙い小説を公開することで「腕落ちたな」とか「幼稚な側面もってるな」とか、そんなネガティブな心象を与えたらどうしよう……と若干の葛藤があったんですが、「いやいやオマエ何様だよ、酔うのは酒だけにしろ」と心の中のリトル本田から指摘を受けたので公開することに致しました。
……ていうか何で俺の心の中にリトル本田がいるのかはわかりません。
いやしかし。
そう、僕なんて何者でもない、というか北斗の拳的にいうと「何者と言われましても私は名もないただのボロでございます」という存在なので、そんな人間の黒歴史なんて、葬り去るよりも公にした方がまだ救いがあるかもしれないと思い立ったのが公開のキッカケです。
若いころからずーっとずーっと夢だけ語ってて、でも言い訳ばっかりで何にもしないまま長い年月を過ごしてきて、ようやく切羽詰まって自分と向き合って、もう誰のためとか何のためとか関係なくうわあああああって気持ちで書き殴ったのがこの作品です。
なので他人から見てももちろんそうでしょうし、時間をおいて自分で客観視してもそうなんですが、あちこち問題だらけのメチャクチャな小説だとは思います。でも、気張って気張ってようやくこのウンコを出したからこそ、物書きかぶれ……というか一人の人間として、次へ進むことができたとも思っていて、これ僕にとって大切なウンコなんですね。
ですから、僕と同類に届けることで、何かを与えられないかな、と思い立ったわけです。
ファンタジー小説を書いてるアマチュア、腐るほどいますよね。
スゴイ人もいれば、ちょっとまだ残念なレベル感の人もいる。どっちもいっぱいる。
また一方、人間の数ってもっと膨大なレベル感でいるわけなので、かつての僕のような「やってみたいけど言い訳ばっかしてまだ何もやってない層」ってのも沢山いるんじゃないかと思うんです。
そんなこんなの人たちに、僕のウンコを突きつけて、少しでも勇気づけられればと思っている次第です。
僕なんかより全然スゴイのに、なかなか芽が出なくて自信をなくしてる人は、この名もなきファンタジー小説を読んでもらって、「オレぜんぜんイケるわ!」って、これを踏み台にして自信をもって頑張っていってもらえればと思います。
また他方、
「レベル低っ! オレの脳内のファンタジー小説の方が100億倍すげーわ。オレそのうち新人賞とるし、んでアニメ化、映画化、ゲーム化、グッズ販売……へへ、参ったな。オレすごすぎ。オレってちょっと人とは違うからなぁ。え? 今? いや今はまだほら、勉強(仕事)とか忙しいし、時間なくて。それにずっと構想練ってて、次から次へとどんどん浮かんでくるから整理し直すのも大変つーか。設定厨? いやいや設定大事でしょ。本編と同じくらいの分量書かなきゃ小説家としてダメじゃん。ふう、やれやれ素人は。……え? いやだからまだ書いてないって!本編は……」
みたいな過去の僕のようなクソ野郎には、「オマエの脳内では女子が飛びつくかわいくておいしいパンケーキのつもりのソレ、実際にひり出してみたらまず間違いなくウンコだからな」ってことを突きつけたい。
この僕の大切なウンコ。これでも12万文字あって、なかなかの一本グソなんです。この世に具現化されたって点においては、少なくとも脳内パンケーキよりかは価値があるんです。
なので、「言い訳はいいから、設定がどうのとかで納得してから書き始めたいってのも100歩譲って許すから、とにかくオマエが本気かどうか、寝食削って、写経でも何でもいいから12万文字書いてみろよ」という圧だけはかけられる。
最低それだけの価値はもってるウンコなわけです。
てことで、僕より先を行ってるスゴイ皆さん、僕よりまだ後ろにいる同類の皆さん、長い人生じゃないですか。少しの時間でいいんで、この名もなきボロのウンコに触れてみて、どうぞ何かを得てみてください。
ちなみに創作秘話と銘打っておきながら、中身に何も触れてなかったですね。
公開してる本編の上段にも書かせてもらってるとおり、プロット(ざっくり言って設定の一環)って何?って知識だったし、また先述のとおり「うわあああ」と書き殴っただけなので、今となってはもう何がなんだかよく覚えていません。
ただ読み返してみてわかるのは、当時の自分の心境や状況が色濃く反映されてるなあということ。
当時たしか派遣社員を長くやってきていて、もう嫌だもう嫌だもう辞めてやる!みたいな思いが限界に達してたときだったんです。
でも、嫌だから辞める、ただそれだけで道を変えると、たぶん痛い目に遭うなって思っていて、躊躇してたんですね。
人生一回こっきり。(犯罪以外なら)何やったっていいじゃん。これ確かにそう思うんですけど、何にも考えないで好きな道に飛び込んだら、ただ事故っちゃうだけだと思うんですよね。
だからやっぱり進みたい道があるというのなら、そこで最低限求められる力量を身に着けるというか、事前のリサーチや勉強なんかが必要だと思うんです。
……んー、難しいですね。かといって練習を充分に経てから本番だって考え方に陥ると、いつまで経っても本番に突入できないし。順序が逆というか、本番を味わうことで適切な練習ができるって側面も多分にあるので、ちょっと難しい話題ではあるんですが。。
まあ何にせよ言いたいことは(このとき思ってたことでもある)、「今の道をただイヤという理由だけで何の考えもなしに突然車線変更すると次の道で痛い目に遭う」ってことですかね。
それがこの名もなきファンタジー小説の主人公ナギの冒険に表れています。
でもまあ痛い目には遭うんだけれども、それはそれでひとつの学びになるというか、酸いも甘いも含めてすべてが経験値になるので、彼は反省して、それを糧にして、またがんばって次へ行く。といった感じのお話になっていますね。(他人事)
でもこうして振り返ると面白いですね。
『いまがイヤだから逃げるという選択をするときっと痛い目に遭うからやめておけよ?』という無茶な行動を自制するような内容の小説、を書くという行動に出たわけで。
うん、いいんじゃないでしょうか。
< 児童文学ファンタジー大賞 応募作 >
「驚異的な跳躍力」という特殊能力を備えた、父ノヴァと息子セロの二人旅。長くつづく森を抜けてたどり着いた先は、川を挟んで南北に分断された海辺の町だった。セロはひとりの踊り子と出会い、やがてノヴァとセロが背負った業が、町をめぐる問題と複雑に絡み合っていく。
――少年ファンタジー小説「あべこべのセロ」。悲しみを帯びたクラシカルなこの物語は、大人にこそ読んでもらいたい。
楽天kobo電子書籍版はこちら
<本ブログでの連載ホラー小説もどうぞ>